1999年12月12日 日曜日

銀河英雄伝説7 怒涛編 田中芳樹 徳間書店 1986年

 「オタクの本じゃん」とか「子供向け」とかいろいろ言われますが、私はこの本がやっぱり一番好きです。軽薄なロマンチシズム、陳腐な妄想の産物。否定はしません。でも、その中にはドラマがあります。人間賛歌です。
 もう何回読んだのか自分でもよく分かりません。高校1年のときに初めて読みました。出久根達郎が「一冊の本が、人を変え世を改革するものと信じて疑わぬ」というようなことを言っていましたが、私にとってはこの本がそれです。自分を形作る五分の一はこの本から、と言っても言い過ぎではないほどの影響を受けています。穿った見方、斜に構えた見方をして擦切れそうになったときに読むと、「不条理で大変なこともたくさんあるけど、人生ってスバラシイ」と単純に立ち直ってしまいます。単細胞生物です。無人島に持って行くとしたら何?、という馬鹿な質問がよくありますが、真に受けて答えるなら、躊躇無く「これ」と答えられると思います。
 誰にでもそういう本ってあると思いますが。あー、幸せ。オプティミスト。


1999年12月2日 木曜日

雪のひとひら ポール・ギャリコ 矢川澄子訳  新潮社 1975年

 雪のひとひらが生まれ、そして天に召されるまでを描いたファンタジー。雪のひとひらは女性の寓意だろう。彼女になぞらえて女性の愛に生きる姿が、美しい挿絵と共に描かれる。たまにはこういうのもいいかな。


1999年12月1日 水曜日

麻雀好日 吉行淳之介  毎日新聞社 昭和52年 

 昔はよく麻雀をやった。それこそほとんど麻雀のことしか考えていなかった時期があった。高校から浪人ぐらいの頃だったか。特に浪人時代は、現実逃避からか親が寝静まってからこっそり家を抜け出し、よく麻雀を打ちに行った。その頃のバイタリティーは今は無い。
 大学に入ったら毎日麻雀の生活が始まるんだろうなあと思っていたら、案に反して大学ではほとんどやらなくなった。理由はまわりがやらないからというごく単純なもので、まわりがやらなくなると麻雀は一人では出来ないので自然やらなくなった。もともとやっていた面子も就職したりして、やる機会が減ってしまった。
 また大学の面子は概してレートが低い。ギャンブルの面白さはレートに比例する。もともと麻雀をやっていた面子はバカばっかりだったので、アホのようにレートがあがって行く。その頃は何故かみんな金を持っていた。バブルもとうにはじけていたと言うのに、その頃のオレ達はバブル全盛期だった。
 この本はそんな頃、高校時代に買った。吉行が死んだ年だったかな。古本屋で100円だった記憶がある。本棚を整理していたら出てきたので、つい懐かしくなって読んでしまった。この本はエッセイ風の麻雀日記のようなもので、毎日新聞の朝刊に連載されていたそう。当時は麻雀の認知度が今よりもずっと高かったのだろうか。朝刊に麻雀エッセイが連載されるというのは今ではちょっと考えられない。
 この本の中で度々アサテツが登場してきて、雀風だけではなくその文学的才能も吉行が高く評価していたのには、嬉しく思った。やはりオレの中でアサテツは神様で、恥ずかしいことを言えば「青春時代のヒーロー」なんだよなあ。


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