「赤と緑」
■ Q@10
■テカ☆テカ(117) 投稿日:99年11月10日<水>04時32分
その日は朝から雨だった。そんな日は彼は窓から空を見つめこの空の遠くに広がるバナナ畑に連なる兄弟達の事を思い出す、しかしそんな望郷の思いも、これからいつもと同じようにドタバタ劇を繰り返さなければならない現実の前では希望ではなくより悲しみを濃くする作用しか持っていない。
テレビの前のみんなには分かるわけもないんだけど、こっちの世界は本当に狂っている、それはみんなに30分間の完璧な時間を提供している反動だっていう人がいるけどオレもその意見に賛成で、結構それが真実なんじゃないかって思ってる。
その日は朝から晴れだった。
■ P3@8
■とり(118) 投稿日:99年11月10日<水>10時44分
重い服を着て、スノーボードしたりスクーバーしたり、確かにみんなに見えるものは何時も一つなのかもしれないけど、内実替え玉をしたなべやかんみたいなもんだ。日本人はバナナだって言う人が居るけど、本当にそう、外側と内側はまるで違う色をしている。既知のことについてもみんな知らん顔で、すごいすごいとはしゃいだりびっくりしたりして、そう言う毎日を繰り返して行くことに、彼も、そして勿論オレも、ほとほと嫌気がさしてしまった。雨が降ろうが、町中の猫が日向ぼっこもしないで木や家の陰に隠れてしまうようなカンカン照りの日だろうが、昼間だろうが、クラクションの音しか聞こえなくなる(実際はその音さえここに居ては聞こえない)真夜中だろうが、オレ達にとってはどうでも良い事で、そんな事に左右されずに、見た目はいつもとほんのちょっと変わって見える同じ事を、また飽きもせず繰り返して行く。
■ 日々地獄
■テカ☆テカ(119) 投稿日:99年11月11日<木>03時08分
オレはいつも朝起きるとお気に入りのイタリア製っぽいソファーに座ってコーヒ−を飲む、それをしないといつもの調子が出ないし、スターはみんな似た様なことをしているとオレが信じているからだ、もっともソファーのタグには台湾製って書いてあるんだけど。
それから決まったようにスタジオにいって打ち合わせ、また今日も赤いヤツと会わなきゃなんない、ここだけの話ホントはオレあいつ嫌いなんだよね、だって何にもやらないんだもん、これでギャラ同じなんだからやってられないよ、染野助染太郎じゃないっつーのホント、この間そのことでヤツに文句いってやったら「ごーめんなさいよ−」だって、死ねって感じ。
■ 前の載せてもいいかね?
■とり(120) 投稿日:99年11月12日<金>00時15分
一体何なんだ。何で緑なんだ。赤の反対色か。おまえは一体何なんだ。誰なんだ。
ふと自分に呼びかけてくる声がある。単なる気のせいかもしれないし、オレの内なる叫びかもしれない。でも、その声に対する答えは決して前向きにさせる物ではなく、むしろ答えれば悪いほうに向かって行ってしまう物のような気がする。そこにあるのは望郷の思いなんかじゃない、ただの寂寥だ。だからいつも気づかない振りをしてきたし、これからもその声に答えるつもりは無い。
あちらから赤い憂鬱が近づいてくる。底抜けに明るい表情を振りまきながら、今日も奴とくだらない低能達のための、長い長い30分が始まるのか。
■ いいんじゃん ここで終わりでもいいかも?
■テカ☆テカ(121) 投稿日:99年11月12日<金>01時58分
昔はオレが絶対的なスターだった、それが今じゃ5分出ればいい方だ、ok分かってるオレは今じゃスターじゃない、でも周りはまるでスターのように扱う、それがオレの気分をさらに深いゴミ溜の中に引きずり込む。
オレは何だ、いったい何だって云うんだ、分かってるじゃないかそんな自問が何の救いも持たないことを。
そしてオレはまた心を凍らせて今日も行く、やがて聞こえるあの号令で。
「スタート」